イソトレチノイン(isotretinoin)とは、ビタミンAとその誘導体を合せたレチノイドを主成分としたニキビ治療用の内服薬で、皮脂の分泌を抑える作用、アクネ菌に対する抗菌作用、抗炎症作用があるため、重症ニキビに対して効果があるとされ、欧米を始めとする先進国で、難治性ニキビ治療への第1選択肢として、40年以上使用されているニキビ治療用の医薬品です。
また、ニキビ治療に高い治療効果がある他、内服を終了した後にもニキビの抑制効果が期待できます。
イソトレチノインとは
イソトレチノイン(isotretinoin)とは、ビタミンAとその誘導体を合せたレチノイドを主成分としたニキビ治療用の内服薬です。
イソトレチノインの商品名は、「アクネトレント(Aknetrent)」「アキュテイン(Accutane)」「ロアキュタン(Roaccutane)」「イソトロイン(Isotroin)」など複数ありますが、いずれもイソトレチノインを主成分にしています。
イソトレチノインは、アメリカでは、1982年に日本の厚生労働省に相当する行政機関である、「FDA(Food and Drug Administration:米国食品医薬品局)」に、重症ニキビに対する治療薬として承認されている歴史ある治療薬でが、日本では厚生労働省の認可がおりていないため、保険が適応されず、自由診療での治療となります。
イソトレチノインの主成分である、ビタミンAとその誘導体を合せたレチノイドには、皮脂の分泌を抑える作用、アクネ菌に対する抗菌作用、抗炎症作用があるため、重症ニキビに対して効果があるとされています。
また、イソトレチノインはニキビ治療に高い治療効果がある他、内服を終了した後にもニキビの抑制効果が期待できます。
イソトレチノインはなぜ未承認なのか
イソトレチノインは、重度のニキビ治療薬として、欧州や米国の治療ガイドラインでは重症ニキビに対して高いレベルで推奨され、欧米や韓国をはじめとするアジア諸国で保険適応のある標準治療の薬となっていますが、日本では未承認の薬となっています。
厚生労働省の「アキュテイン(ACCUTANE)(わが国で未承認の難治性ニキビ治療薬)に関する注意喚起について」によると、「『アキュテイン』(一般名:イソトレチノイン)については、妊娠中の女性が服用した場合に、胎児への催奇形性のおそれがあるため、米国食品医薬品局(FDA)では、インターネットや個人輸入により入手することのないよう、注意喚起を行っています。」と、注意喚起がされています。
イソトレチノインを内服中もしくは内服後の短期間内に妊娠した場合、胎児に重大な奇形や発達障害が起こる可能性が高くなるため、イソトレチノインを服用する際には、男女共にイソトレチノインの内服期間中およびその前の1ヶ月、そして薬の服用を終了してから6ヶ月間は必ず避妊をしてください。
また、妊娠中、授乳中、妊活中の内服ができないため、日本をはじめとした一部の国では、未承認となっていると考えられ、医師が輸入し処方することを除いて、個人輸入をすることが禁止されています。
(参考)厚生労働省の「アキュテイン(ACCUTANE)(わが国で未承認の難治性ニキビ治療薬)に関する注意喚起について」
イソトレチノインの効果
イソトレチノインの効果の効果について確認してみましょう。
重症のニキビ治療には、ニキビの原因となる、皮脂の過剰分泌を抑えることが大切になります。
イソトレチノインは、皮脂腺を縮小させる効果があるため、重症のニキビにも高い効果が期待できるとされています。
- 皮脂を分泌する皮脂腺を縮小して、皮脂の分泌を抑制する
- 皮膚の角化を抑制し、細胞を正常化して、毛穴のつまりを防ぐ
- 抗炎症作用によってニキビの赤みを緩和
皮脂腺を縮小して皮脂の分泌を抑制する
イソトレチノインの効果として、「皮脂腺を縮小して、皮脂の分泌を抑制する」という点があげられます。
イソトレチノインは、皮脂腺を退縮させる作用があり、ニキビの原因となる皮脂の分泌量を減少させます。
皮脂分泌を抑制することで、ニキビの原因となる、アクネ菌などニキビの原因菌の活動や定着が定着できなくなり、ニキビの発症や炎症の進行を防ぐことできます。
皮膚の角化を正常化して毛穴のつまりを防ぐ
イソトレチノインの効果として、「皮膚の角化を正常化して、毛穴のつまりを防ぐ」という点があげられます。
イソトレチノインは、細胞に働きかけることで、毛穴の詰まり(角化異常)を改善し、表皮細胞や皮脂腺細胞などの皮膚細胞を正常に整える作用があります。
皮膚細胞が正常に働くことで、皮脂が毛穴に停滞するのを解消し、アクネ菌などニキビの原因菌の増殖を防げます。
抗炎症作用でニキビの赤みを鎮静する
イソトレチノインの効果として、「抗炎症作用でニキビの赤みを鎮静する」という点があげられます。
イソトレチノインは、過剰な免疫反応を正常化する作用があります。
アクネ菌などニキビの原因菌が増殖すると、皮膚内部で菌を排除しようと免疫反応が働くため、重症なニキビでは免疫反応が過度に働いて、ニキビの赤みや炎症が起こります。
イソトレチノインを内服することで、ニキビの赤みや炎症を鎮静し、赤ら顔などに対応することが可能になります。
イソトレチノインによるニキビ治療がむいている人
イソトレチノインによるにきび治療は、重症のニキビの治療に用いられるイメージが強いかもしれませんが、実際には中度のニキビの治療でも用いられることが増えています。
イソトレチノインによるニキビ治療がむいている人について、具体的に確認してみましょう。
- 重症なニキビがある
- 繰り返しできるニキビに悩んでいる
- ニキビ跡ができやすい
- ニキビに関する深刻な悩みが絶えない
- 体にニキビがたくさんある方
重症なニキビがある
イソトレチノインは皮脂腺を縮小させる効果があり、皮脂の過剰分泌を抑え、ニキビができにくいように肌質を整える効果があるため、重症のニキビで、これまで保険診療でのニキビ治療で思うような効果が得られなかった人や、何度も繰り返すニキビにお悩みの人に適している治療法です。
繰り返しできるニキビに悩んでいる
保険診療で抗生物質を長く服用したり、塗布している場合、耐性菌が出来てしまう可能性が高くなるため、イソトレチノインによる治療がむいています。
ニキビ跡ができやすい
ニキビができると跡になりやすい人は、ニキビを作る事自体を避ける必要があるため、イソトレチノインによる治療がむいています。
ニキビに関する深刻な悩みが絶えない
ニキビがあることで、人と会えない、外に出ることができない、仕事に行けない、学校に行けないなど、精神的に悩みを抱えてしまっている場合は、早急にニキビを治すことを優先するため、イソトレチノインによる治療がむいています。
体にニキビがたくさんある方
体にニキビがたくさんある場合、薬を体全体に塗布することが難しいため、イソトレチノインによる治療がむいています。
イソトレチノインの治療ができない人
イソトレチノインの治療ができない人について確認してみましょう。
- 妊娠中の方、妊娠の可能性がある方、妊娠を希望されている方
- 授乳中の方
- 15歳未満の方
- 成長期で身長が伸びている方
- イソトレチノイン製剤、トレチノイン製剤、ビタミンAでアレルギーを起こしたことのある方
- テトラサイクリン系(ビブラマイシン、ミノマイシン、ミノサイクリン、ミノペン)の薬剤を内服されている方
- 副腎皮質ステロイドを内服している方
- フェニトイン(アレビアチン、ヒダントール)を内服している方
- うつ病その他の精神疾患で治療中の方
- 肝機能障害のある方
- 中性脂肪、コレステロールの高い方
- 総合ビタミン剤(ビタミンA)内服中の方
- ビタミンA過剰症の方
- 大豆アレルギーの方
- レーザー脱毛中の方
- レーシック手術を受けた方
妊娠中、またはイソトレチノインを服用中に妊娠した場合、胎児に先天異常、奇形、流産、早産、死産の危険性が極めて高いという副作用があります。
イソトレチノインを服用する際には、男女共にイソトレチノインの内服期間中およびその前の1ヶ月、そして薬の服用を終了してから6ヶ月間は必ず避妊をしてください。
もし、妊娠した場合は内服を中止し、医師に相談するようにしましょう。
※イソトレチノインは、医師の指導のもと、適切な服用を行い、安全を考慮したうえで治療を進めていくことが重要です。
イソトレチノインの副作用
イソトレチノインの副作用について確認してみましょう。
最注意事項
妊娠している女性への投与により、流産や胎児の形態異常が引き起こされる可能性があります。そのため、薬を服用する期間中およびその前の1ヶ月、そして薬の服用を終了してから6ヶ月間は必ず避妊をしてください。
もしも妊娠が確認された場合は、ただちに薬の服用を中止し、医師に相談してください。
- 妊娠中の胎児の先天異常、奇形、流産、早産、死産
- 鬱、精神病(幻覚、幻聴)、自傷行為、自殺企図などの重大な精神疾患
- 皮膚や粘膜の乾燥症状
- 鼻の粘膜が乾燥した場合に生じる軽度の鼻血
- ニキビの一時的な悪化
- 光線過敏
- 眼瞼炎、結膜炎
- 肝機能低下
- 炎症性腸疾患
- 頭痛
- 発疹、軽度の痒み、落屑
- 筋肉痛や関節痛
- 血液中のコレステロール値の上昇
- 脱毛(一時的なもので、内服終了後に回復します)
- めまい、吐き気
- 倦怠感、疲労
イソトレチノインの副作用は多岐に渡りますが、重大な副作用の1つとして、妊娠中、またはイソトレチノインを服用中に妊娠した場合、胎児に先天異常、流産、早産、死産の危険性が極めて高いという副作用があります。
また、皮膚、口、鼻、眼など粘膜の乾燥が起こり、粘膜の乾燥によって皮膚炎、口角炎、口唇炎、鼻出血、ドライアイなどの副作用が起こる可能性があります。
さらに内服中は、光の感受性が高まり、シミや色素沈着、瘢痕リスクがあるため、脱毛、レーザー、光治療を中止し、日焼けを避けるようにしましょう。
※イソトレチノインは、医師の指導のもと、適切な服用を行い、安全を考慮したうえで治療を進めていくことが重要です。
イソトレチノインの飲み方
イソトレチノインの一般的な飲み方としては、「イソトレチノイン」20mg錠を1日1回食事中または食後に内服することから始めます。
内服を始めてから、1ヶ月目で効果を実感するケースが多いですが、一方で、最初の1〜2週間は、薬の効果が現れ始めた好転反応のため、一時的に症状が悪化する場合がありますが、約4~6週間で症状は落ち着きます。
内服期間は、症状によって異なりますが、通常20〜24週間ほど継続します。
また、内服をやめても改善効果が続くことがほとんどですが、ニキビが再発する場合は、症状を診ながら再度内服を試みます。
イソトレチノインの治療中の注意事項
イソトレチノインの治療中の注意事項について確認してみましょう。
- 妊娠、妊活、授乳
- 脱毛
- レーシック手術
- 献血
妊娠、妊活、授乳
イソトレチノインを内服中に妊娠した場合や妊娠中の内服は、胎児の先天異常や奇形、流産、早産、死産の危険性が極めて高くなります。
男女共にイソトレチノインの内服期間中およびその前の1ヶ月、そして薬の服用を終了してから6ヶ月間は必ず避妊をしてください。
脱毛治療
イソトレチノインを内服中は、光に対する感受性が高まるため、光やレーザーを使った脱毛治療を受けると、シミや色素沈着、瘢痕リスクがあるため、脱毛治療を受けないでください。
レーシック手術
イソトレチノインは、レーシック手術の前後6ヶ月間も内服できません。
献血
イソトレチノインを内服中および内服終了後6ヶ月間は献血をしないようにしてください。
献血から作られる血液製剤は妊婦に使用される恐れがあり、胎児に影響を受けてしまいます。
イソトレチノインの治療を辞めた後
イソトレチノインは、内服を辞めた後も長期にわたり効果を持続することが多いです。
皮脂の分泌が減りニキビができにくいように肌質を整える効果があるため、内服を終了してから1年以上経っても、ニキビがほとんどできなくなることもあります。
内服終了後にニキビが再度できた場合でも、内服前より良い状態を維持することが多く、イソトレチノイン治療前の状態まで戻ることは稀とされ、ニキビの塗り薬などの外用薬で対応や予防を行うことで、状態を維持することが期待できます。
それでもニキビが出続ける場合には、再度イソトレチノインの内服を開始する場合があります。
イソトレチノインの料金
- 配送料:500円(税込550円)/ 回
- 公的医療保険が適用されない自由診療です
- らくらく定期便は、定期的に自動で決済を行い、お薬をお届けするサービスです
- 定期便の解約は無料です
- 当クリニックでは、受診時に特定の診療項目に基づいて、一定期間の処方箋を受けた際、お手持ちの薬が使い切る前にお支払いいただき、その都度必要な薬をお届けする「分割調剤」システムを導入しています
- 一括購入割適応は6ヶ月分一括購入を基本とし、医師の判断により処方月数が変わった場合のみ3ヶ月分一括購入から適応されます
まずは医師の診断からスタートする
\ご相談のみも歓迎/
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イソトレチノインよくある質問
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Q妊娠や授乳中にイソトレチノインを服用すると、胎児に影響はありますか?
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Aイソトレチノインの治療期間とその前後6ヶ月間は、妊娠や授乳は避ける必要があります。
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Qニキビの状態が良くなったので、イソトレチノインの治療を終了しても良いのでしょうか?
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A症状が良くなっても、治療期間は5〜6ヶ月必要です。治療を中断すると、ニキビが再発する可能性があります。指定された期間、正確に服用してください。
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Qイソトレチノイン治療中に、他のスキンケアの治療と併用しても問題ないですか?
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Aイソトレチノイン服用中は、他のニキビ薬の併用はおやめ下さい。ドクターズコスメや一部の施術との併用は効果的な場合もあるため、担当医師にご相談ください。
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Qイソトレチノイン服用中のスキンケアで注意した方が良いことはありますか?
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A服用中、皮膚が日焼けしやすくなり、また乾燥しやすくなります。紫外線対策として日焼け止めを使用し、常に保湿ケアを心がけてください。
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Qイソトレチノインの治療後にニキビが再びできることはありますか?
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A治療後にニキビが再発することも考えられますが、正しい治療を継続すれば、ニキビは着実に改善されます。持続的な治療とケアが重要です。